MEGAXがリリースされました。(6/1/2018)

ダウンロードは www.megasoftware.net からどうぞ!

MEGA (Molecular Evolutionary Genetics Analysis)は、DNA、タンパク質配列データの分子進化・系統学的解析を行うためのソフトウェアです。最初のバージョンは1993年に開発され、IBM PC-DOSDOS/Vの英語モード)上で動作しました。その後、バージョン2(MEGA2 )Windowsアプリケーションになり、バージョン3(MEGA3 )では、系統解析のための配列データ構築機能が装備されました。すなわち、DNAシーケンサからの Trace ファイルや FASTA をはじめとした様々な形式のテキストファイルの入力、内臓Webブラウザを用いたデータベースからのデータの検索(EntrezBLASTなど)・直接入力に対応しています。集めた配列データは専用アライメントエディタで編集できます。このアライメントエディタは ClustalWMUSCLE を内蔵し、配列の自動アライメントも可能です。最新バージョンのMEGA5 では、最尤法に基づいた種々の解析法を搭載しました。MEGA6 では、分岐年代測定のための方法 (Tamura et al. 2012, PNAS 109:19333-19338)を実装しました。MEGA7 では、64 bit Windows版として大規模データに対応し、分岐年代測定のためのRelTimeの改良版、遺伝子重複の自動判別機能などを実装しました。

201861日、MEGAXがリリースされました。MEGAXの「X」は8MEGA -CC)、9MEGA-MD)の次で「10」という意味もありますが、それ以上に「cross(X) platform」を意味します。MEGA2以降、MEGADelphiというWindowsの開発環境で開発されてきました。そのため基本的にWindowsのソフトウェアで、Mac版もありましたが、それはMac上でWindowsアプリを走らせるためのものを利用してきました。Delphiは、元々Borlandという会社が開発したPascalをベースにした統合開発環境でしたが、その後Borland CodeGearになり、CodeGear Embarcadero Technologiesに買収されるなどの変遷により、MEGAの開発も安定的ではありませんでした。そこで今回、開発環境をDelphiからLazarusに交換しました。LazarusBorland時代、Delphiの開発メンバーだった人達によって生み出されたパブリックドメインの開発環境で、WindowsのみならずLinuxmacOSを含む幅広いOSに対応しているのが特徴です。そのためMEGAも本当の意味でMacLinuxに対応することが可能になりました。今後はこのLazarusを開発環境とすることにより、安定した開発を進めることができると期待しています。


 

 MEGA4の機能を紹介するアニメーションです。(※閲覧には Adobe Flash Player が必要です。)

 


MEGA5 の主な新機能は以下の通りです。

1.     多重配列アライメントのエンジンとして、ClustalW に加えMUSCLEも搭載。

2.     最尤法による系統樹推定、分岐年代推定、祖先配列推定、置換モデル選択。

3.     ユーザ指定系統樹の解析(トポロジー編集機能付)

4.     コドン単位の dN/dS テスト(HyPhy搭載による)

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MEGA5
についての詳しい解説は、Barry G. Hall 博士の“Phylogenetic Trees Made Easy: A How-To Manual”をお薦めします。

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MEGA3 チュートリアル(Actin gene coding region を例題として)


MEGAと、このページの内容に関する問い合わせ: 田村浩一郎(ktamura@tmu.ac.jpまで、お気軽にどうぞ