分子系統樹の作成
1.近隣結合法による系統樹の作成とブートストラップ・テスト
(1) MEGAメインウィンドウからデータファイルをオープンする。
(2) メインメニュから [Phylogeny]-[Construct
Phylogeny]-[Neighbor-Joining(NJ)] をクリックする。
(3) DNA塩基配列(下図左)、タンパク質アミノ酸配列(下図右)のそれぞれ場合について系統樹を作成してみる。配列間の距離はp-distance
(proportion of different sites)を用いる(一般的には多重置換を補正する他の方法の方がよいが、使用できない場合があるので、実習では常に使用できるp-distanceを用いる)。
補足: 進化距離の値をチェックするには、[Distances]-[Compute
Pairwise] をクリックする。
[Compute]
をクリックすれば系統樹が作成され、Tree Explorerに表示される(下図)。
(4) Tree Explorerを使って系統樹の形を整える。まず、植物(Arabidopsis、Oryza、Vigna)より、菌類(Saccharomyces、Pneumocystis)の方が動物に近縁なので、系統樹の根(root)の位置を変え、植物が外群(outgroup)になるようにする。
rootが付くべき、植物に至る枝をクリックして選択する。
↓
ボタンをクリックしてrootの位置を変更し、同様に、 や を使ってクラスターの順番を整える。
系統樹全体の大きさ、線の太さ、フォントなどは、 をクリックして[Options] ダイアログを表示させ、設定する。
(5)
ブートストラップ法によって、系統樹の安定性を検定してみる。
(6)
得られた系統樹から、脊椎動物の細胞骨格型と筋肉型アクチンの進化について考えてみよう。
2.系統樹を基にした解析例
(1)
分子時計を用いた分岐年代の推定 (哺乳類 チトクロームb遺伝子の場合)
・分子時計が有効かどうか(系統間で進化速度が一定かどうか)を確認する。
上の系統樹では、霊長類の進化速度だけ速くなっていることが明らかなので、Sequence Data Explorerを使って霊長類だけ解析から除く。
・霊長類を除くと、分子時計が概ね成り立っていることがわかる。
・Liberalized Tree に変換する。
・基準となる分岐点(下図ではMouse-Ratの分岐点)を選択し、分子時計ボタンをクリックする。
・「Divergence Time」ダイアログが表示されるので、分岐年代を入力する。基準となる分岐年代が不明な場合、[Compute]-[Calibrate
MolClock]メニュー(右下図)をクリックして「Divergence
Time」ダイアログを表示させ、「Evolutionary Rate」を入力する。
・「Option」ダイアログを表示させ、「Show Time Scale」にチェックを入れると、分岐年代のスケールも表示される。
・「Information」ダイアログを表示させれば、選択したノードの分岐年代が表示される。
(2)分類群と分子系統との関連(人類集団のD-loop配列の場合)
MEGA3には配列をあらかじめいくつかのグループに分類しておくことにより、系統樹上でグループ毎に異なった属性(枝の色、フォントなど)で表示したり、マーカーや見出しを使ってグループを識別し、グループの系統関係を容易に可視化することができる。
・「Select/Edit Taxa Groups」ダイアログボックスでグループを作成(左ウインドウ)、右ウインドウのメンバーをそれぞれグループに関連付ける。
・系統樹を作成し、TreeExplorerで[Subtree]-[Draw Options]メニューからグループを選び、表示されるダイアログボックスで表示属性を設定する。
・下図では、Asianを赤い枝、赤丸マーカー、Europeanを青い枝、白抜きマーカー、Africanを黒い枝、黒丸マーカーで示した。New Guineanには見出しが表示されている。