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[2B4] ポストゲノムシークエンス時代の進化多様性研究

種別 シンポジウム
提案者 五條堀 孝(遺伝研) 
趣旨 2002年4月にヒトゲノム配列の完全終了宣言がおこなわれる。一方、すでに米国では、DNAチップによって25人50ゲノムの全ゲノム配列決定によるSNP(Single Nucleotide Polymorphism)の特定が終わり、チンパンジー1個体の全ゲノムのSNPも約1週間程度ですでに同定されている。さらに、どのような生物のゲノム配列決定もわずか1000ドルでおこなうための技術開発プロジェクトが真剣に議論されている。また、遺伝子の同定やその機能の特定を大規模な確証実験によって遂行する動きも活発化してきている。これらは、明確な目的をもったデータベースの生物学的構築を前提に、「比較ゲノム」と「機能ゲノム」を有機的にとりまぜながら、ゲノム情報にどこまで高次の表現形や形質をmappingできるかという研究パラダイムが確立しつつあることを意味する。たとえば、米英が中心になって準備している「ENCODE」という新規の巨大プロジェクトも、明らかにこのパラダイムの上に設計されている。言い換えれば、この「研究パラダイム」は、ゲノム情報を基盤とする「進化学」そのものであり、「ゲノム進化学」という通常の「ゲノムの進化学」概念を超えるものである。つまり、この研究パラダイムに従えば、SNPに基づく表現形としての疾病の責任遺伝子の追求から、遺伝子制御や遺伝子相互作用に基づく比較発生過程や種分化の解明まで、生命現象を動的な情報の流れとして時間的・空間的に理解しようとする思想的インセンティブとして一括的に捉えることが可能となる。この思想的なインセンティブこそ、生命現象の統合化理解であり、現代進化学のもつ大きなインセンティブそのものである。このような「研究パラダイム」を明示的に意識して研究をおこない始めた研究者の方々に講演をお願いし、「ポストゲノムシーケンシング時代の進化学」のあり方を議論する。

予定講演者の氏名、所属、タイトル




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