ショウジョウバエは、ちまたで「コバエ」と呼ばれるている小さなハエです。
専門的な分類では、双翅目(カやアブ、ハエの仲間)ショウジョウバエ科に属する種の総称で世界中でおよそ60属3000種知られています。
日本では、21属257種が報告されています(岡田, 1988)。
ハエ叩きで退治するようなハエより小さく、糞にたからないので病気などの原因になるばい菌を運ぶこともなく清潔な昆虫です。
ショウジョウバエの起源は1億2千万~8千万年前のアフリカか東南アジアの熱帯だと考えられてれており、そこから世界中に分布を広げ今では、南極と北極以外のほぼすべての地域に生息しています。
世界中に分布を広げていくなかで、地域ごとの環境に適応し種分化していき種数も増えていきました。
日本でも、東京などの都市部から人のいない山奥までさまざまな環境の中で生息しており、固有種は100種近くにのぼります(Japan Drosophila Database)。
ショウジョウバエは生態的には大きく“人家性種”と“野生種”にわけることができます。
人家性種は文字通り人家またはその周辺に生息し、繁殖場所も人の生活と密接に関連しています。そのため、人がいるところならどこでも生息し、世界中いたるところにいてコスモポリタンと呼ばれている種もあります。
人家性種は主として、台所の野菜くず、果物、漬物、果樹園の落果などに集まっています。
一方、野生性種は人為的影響をあまりうけることがなく自然環境が保たれた場所に生息しています。自然環境といっても多様で、谷川のように水源の近くに生息する種や針葉樹林・広葉樹林などの森林に多くすむものなどさまざまな種がいます。また、人家性と野生種どちらにもあてはまる種も存在します。
繁殖時期も種によって異なります。また、日本は南北に細長いので同じ種でも北海道と沖縄では繁殖時期や期間も異なってきます。
しかし、日本では南部のかぎられた地域を除き真冬は低温のため繁殖できず、真夏の暑さは適温よりはるかに高いので平地では採集しにくくなります。
したがって主な繁殖期は春と秋といえます。
ショウジョウバエの名前の由来は伝説の動物からきています。
ショウジョウバエは代表的な種が赤い目を持つことや酒に好んで集まることから、顔の赤い酒飲みの妖怪「猩々(ショウジョウ)」にちなんで名付けられたのです。