[P-002]実験室内進化ダイナミックスの熱力学的概念に基づく解釈
発表者(所属) 相田拓洋(独立行政法人産業技術総合研究所 生命情報科学研究センター) 要旨 生体高分子を対象とした実験室内分子進化は、生体高分子の適応度地形上の適応歩行の概念で把握できる。そこで、実験室内分子進化の理論モデルとして、「富士山型適応度地形上の適応歩行」のダイナミクスを数学的に調べた。さらに、このダイナミクスが、非平衡熱力学の諸概念(温度、ボルツマン定数、エントロピー、自由エネルギー、一般化力、アインシュタインの関係式、等)と”同様な概念”で解釈可能であることを見いだした。結果を次に示す。(1)生体高分子は”進化力”に駆動されて”自由適応度”の最大となる状態に向かって進化する。(2)進化速度は、非平衡熱力学に於ける「アインシュタインの関係式」と同様な式に従う。(3)進化で獲得した”生物学的情報量”は”シャノンの情報量”と”適応度情報量”の和で与えられる。