[P-003]ミトコンドリアDNA全長配列に基づくヒゲクジラ亜目全種の系統関係とその分岐年代
発表者(所属) 佐々木剛(東工大)、二階堂雅人(東工大)、Healy Hamilton(カリフォルニア大)、後藤睦夫(鯨類研)、加藤秀弘(遠水研)、上田真久(鯨類研)、Luis A. Pastene(鯨類研)、曹纓(統数研)、長谷川政美(統数研)、R. Ewan Fordyce(オタゴ大)、岡田典弘(東工大) 要旨 クジラ類は陸上生活から水中生活への適応という特殊な進化の過程を経て現在に至っており、その謎を解明すべく数多くの研究が行われてきた。また、クジラ目のヒゲクジラ亜目は過去に捕鯨の主な対象として世界の海洋で乱獲され個体数が激減し、現在は生物多様性保全の観点から最も注目を浴びている生物でもある。このようなヒゲクジラ類の生物進化の解明、多様性の保全を考えていく上で、その系統関係の理解は最も重要となってくる。しかし、これまで様々な分野の研究によって示されたヒゲクジラ類の系統関係は必ずしも一致しておらず未だに不明である。そこで、本研究は現存するヒゲクジラ類全種(12種)からミトコンドリアDNAの全長配列を決定し分子系統学的見地から系統樹を構築、また分岐年代の推定を行った。本研究で得られた結果とヒゲクジラ類のSINE法による解析と総合的に評価することでヒゲクジラ類の系統関係の最終的な結論を導くであろう。