[P-005]ミンククジラゲノム中におけるSINE挿入多型の検出
発表者(所属) 牧野 瞳(東工大院・生命)、二階堂 雅人(統計数理研究所)、佐々木 剛(東工大院・生命)、後藤 睦夫(日本鯨類研究所)、上田 真久(日本鯨類研究所)、Luis A. Pastene(日本鯨類研究所)、岡田 典弘(東工大院・生命) 要旨 SINEは、短い散在性の反復配列で、真核生物ゲノム中に広く存在するレトロポゾンである。それらは1度ゲノム中に挿入したら抜け落ちないという性質をもつことから、当研究室では今までにSINEの挿入を指標として多くの哺乳類、特に鯨類や偶蹄類の系統樹を構築してきた。 ミンククジラは遺伝学的・形態学的にBalaenoptera acutorostrataとB. bonaerensisの2種に分類される。本研究では、ミンククジラ集団の遺伝的構造を明らかにするために、4つの異なる海洋のミンククジラ計110個体からSINE挿入多型の検出を試みた。その結果、主に南氷洋ミンククジラにおいてSINE挿入多型が検出された。この4集団間のSINE挿入の固定の違いは、南氷洋ミンククジラ集団が他の3集団に比べて大きいことによるかもしれない。以上の結果より、SINE法が種内の多様度を測る上でも有効である可能性が示唆された。