[P-009]棘皮動物ウミシダ類の腕の分岐過程
発表者(所属) 柴田朋子(東京大・院理、現所属は神戸大・院自然科学)、大路樹生(東京大・院理) 要旨 棘皮動物ウミユリ類は通常、中央から伸びた5本の腕を数回分岐させ、その数を増やす。分岐箇所や分岐回数は種によって多様である。ウミユリ類の腕の分岐パターンがどのような進化過程を経て獲得されたものかを明らかにするには、個体発生過程が重要な情報となるが、分岐した腕が個体発生においてどのように形成されるか、これまで明らかではなかった。本研究では、ウミシダ類(茎を持たないウミユリ)の一種であるニッポンウミシダOxycomanthus japonicusを受精卵より2年間に渡り飼育・観察し、その腕の分岐様式を明らかにした。すなわち、10本の腕を持つニッポンウミシダの幼体は、従来の腕を基部近くから自切によって切り落とし、自切した関節面から2本の新腕を形成することで腕を分岐させ、30−40本までその数を増やす。また、腕の分岐は10箇所で同時的に起こるのではなく、腕の密度を保ちつつ順次起こることがわかった。