[P-016]SINEの挿入パターンに基づいたAfrotheria内部の系統解析
発表者(所属) 西原秀典1、二階堂雅人1、福本幸夫2、Michael J. Stanhope3、岡田典弘1 (1 東京工業大学大学院 生命理工学研究科, 2 広島市安佐動物公園, 3 Biology and Biochemistry, Queen’s University of Belfast, UK) 要旨 Afrotheriaとはアフリカ大陸を起源とする哺乳類群の総称で、ゾウ、海牛目(ジュゴン・マナティー)、ハイラックス、ツチブタ、テンレック、キンモグラ、ハネジネズミを含む。このAfrotheriaの内部系統、特にゾウ、海牛目、ハイラックスの関係に関しては、近年の膨大な塩基配列の比較によっても明確な見解が得られていない。これらの系統関係を解明するためのアプローチとして、本研究ではSINEと呼ばれる散在性反復配列の挿入パターンの解析をおこなった。SINE配列はゲノム中のランダムな座位に挿入されるため、異なる種間の相同遺伝子座におけるSINE配列の共有がそれらの種の単系統性を示すことになる。現在までに、海牛目とハイラックスの近縁性を示唆する遺伝子座が一つ単離された。これはこれまで海牛目とゾウの近縁性を強く支持してきた形態学的観点と矛盾するものであり、非常に興味深い結果であると言える。