[P-020]ダム湖における外来種ブルーギルの定着要因 及び在来魚類との種間関係
発表者(所属) 久保田昌子(広島大学大学院生物圏科学研究科) 谷口義則 (山口県立大学) 要旨 近年,淡水生態系において外来魚種の侵入による在来生物種への影響が懸念されている.本研究では山口県のダム湖を対象として水位変動及び水温特性等の環境要因が,北米原産の外来魚であるブルーギルの定着の成否に及ぼす影響を明らかにし,さらに本種と他魚種との種間関係について検討した.ブルーギルの定着水域と未定着水域間で物理環境要因を比較したところ,高水温条件が本種の定着に重要であることが明らかになった.水位変動には両水域間で差が認められなかった。また,ブルーギルが優占種となっているダム湖において本種と在来魚種の食性を解析したところ、著しいニッチの重複が認められた.これらのことから、低標高に位置し水温が上昇しやすいダム湖においてブルーギルが定着しやすく、また種間競争により在来魚種に負の影響を及ぼす可能性が示唆された.