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[P-030]垂直感染の回避としての細胞質の片親からの遺伝と2性の進化

発表者(所属) 山内 淳(京都大学生態学研究センター)
要旨 多くの生物で性が2つであることの原因を、細胞質の遺伝様式と関連させるいくつかの説がある。細胞質中の遺伝因子の間の闘争を回避させるためや細胞質中の利己的な遺伝因子の垂直伝搬を抑止するために、次世代に細胞質を受け渡さない性質が進化しさらに細胞質を受け渡すタイプと受け渡さないタイプの間でのみ交配が成立するシステムが進化したという説である。これらの説のうち、垂直伝搬の抑止と関連して2性のシステムが進化したという説には、理論的に困難な側面があった。すなわち、垂直伝搬をする細胞質性の遺伝因子はすみやかに集団に広まるか排除されるかのどちらかであり、いずれの場合にも垂直伝搬を回避するために細胞質の遺伝を抑制するという進化は起こりにくい。本研究では、細胞質性遺伝因子として病原体を想定し、垂直感染以外の感染形態や感染からの回復といった要因が2性の進化を促進する可能性について理論的に論じる。



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