[P-036]大腸菌を用いた実験室内進化系で見られた遺伝的多様化
発表者(所属) 柏木明子1、能町亘1、勝野雅人1、Mohamad T. Alam1,卜部格1、四方哲也1,2,3,4,5 (1.阪大・工、2.阪大・情報、3.阪大・生命機能、4.東大・総合文化、5.JST) 要旨 大腸菌のケモスタットによる実験室内進化系を構築した。そして、得られた系統樹と個体群動態の結果から、競争的共存による遺伝的多様化が見出された。さらに、ここで見られた多様化は、大腸菌の菌体間相互作用によるものであることを示した。 ランダム突然変異法によってグルタミン合成酵素遺伝子に変異を導入し、それにより異なった増殖速度を示す大腸菌集団を調製した。グルタミン合成酵素の基質であるグルタミン酸を窒素源とした培地で混合培養することにより選択圧をかけた。この変異と選択のサイクルを3回繰り返し、経時的にサンプリングした大腸菌のグルタミン合成酵素遺伝子の塩基配列を決定し、実験室内進化系での系統樹と個体群動態を観察した。 さらに、培養槽内のグルタミン濃度を下げることにより、単一の塩基配列を持つ集団になった。これにより、グルタミンを介しての菌体間相互作用が、複数種の共存に影響を及ぼしている可能性を示した。