[P-038]神経堤細胞におけるHox codeの進化 ーナメクジウオHoxのシスエレメントの解析から
発表者(所属) 和田 洋(京大・フィールド科学・瀬戸臨海) 要旨 脊椎動物を特徴づける複雑な頭部顔面の形成には、神経堤細胞が鍵となる役割を果たしており、特に前後軸に沿った位置情報をもって移動することが必須である。ここでは、その前後軸に沿った位置情報がどのような分子的な背景を伴って進化してきたかを明らかにすることを目指した。神経堤細胞の前後軸に沿った位置価はHox遺伝子の発現としてコードされており、前後軸に沿った位置価の進化には、Hox遺伝子が新たな発現を神経堤細胞で獲得したことが鍵であるといえる。そこで脊椎動物の姉妹群となるナメクジウオHoxのシスエレメントの脊椎動物における活性を調べた。その結果、脊椎動物の神経堤細胞でのHox codeは、ホヤやナメクジウオを含む脊索動物の祖先で、神経管でのHoxの発現に関わっていたレチノイン酸応答システムが神経堤細胞でも機能することで進化したと推測された。