[ポスター発表一覧に戻る]

[P-040]大腸菌実験進化システムを用いた多様化プロセスの再現

発表者(所属) 森光太郎(阪大院・情報)・柏木明子(阪大院・工)・卜部格(阪大院・工)・四方哲也(阪大院・工,阪大院・情報科学,阪大院・生命機能,東大院・総合文化,科技団・さきがけ研究21)
要旨 生物多様性は単一の生物を起源とし、それが増殖しながら、環境に適応することで生じたと考えられる。一方、生物間相互作用により適応度が変化し、共存が成立することも知られている。密度条件と多様化の関係はどうなっているのかを調べるため、大腸菌試験管培養系を用いてこの現象の再現を試みた。低活性変異型のグルタミン合成酵素(GS)遺伝子に様々な変異を導入した集団を、グルタミンの入っていない培地で培養して選択をかけた。選択後に残った菌体のGS遺伝子に対して、更に変異と選択をかけた。その結果、環境の維持できる個体数が段階的に上昇し、それに伴って多型共存が観察された。このように単一遺伝子の高機能化プロセス(適応)を通じて、たとえ物理環境が一定であっても、生物的環境は低密度状態から相互作用が生態的に意味を持つ高密度状態へと進化的に変化し、その結果、多様な生物の共存が生じる可能性が示された。



ポスター発表一覧に戻る