[P-041]糸状菌の一部で機能する遺伝子不活性化機構RIP (repeat-induced point mutation)の多重遺伝子に及ぼす影響
発表者(所属) 池田健一(農業生物資源研究所)・中屋敷均(神戸大学農学部) 要旨 RIPは有性世代を経る際に反復配列を対象として高頻度のC;GからT;Aへの塩基置換を伴う遺伝子不活性化機構であり、これまでに糸状菌の一部(Neurospora crassa, Podospora anserina, Magnaporthe oryzae)のみで報告されている。RIPによる塩基置換は、多重遺伝子に対しても影響を及ぼすことが考えられる。Whitehead Institute/MIT Center for Genome Research (WICGR)より公表されたN. crassaのゲノム情報では多重遺伝子が少なく、RIPがゲノムの多様化を制限している可能性が考えられた。一方、M. oryzaeのゲノム解析の結果(WICGR公表)、多重遺伝子は他の生物と同程度の頻度で存在していた。両種におけるRIP機構の相違点を明らかにし、RIPが多重遺伝子に及ぼす影響について考察する。