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[P-042]托卵鳥ジュウイチCuculus fugaxにおける,“感覚便乗”型擬態

発表者(所属) 田中 啓太(立教大・院・生命理学・動物生態)
要旨 全鳥類約10000種のうち,約100種托卵鳥が知られているが,これらの鳥は宿主を騙すことによって寄生している.托卵鳥だけでなく,多くの社会寄生者は宿主と同じ社会的信号刺激をただ増幅させるだけで宿主を操作している.演者らは托卵鳥であるジュウイチの雛が持つ一連の珍しい形質と,それらに対する宿主の反応を紹介する.ジュウイチの雛は口の内側が鮮やかな黄色をしており,翼角,つまり翼の裏側に口内と同色の皮膚裸出部がある.雛はこの翼角を宿主が餌を運んでくると必ず持ち上げて揺らし,宿主である仮親はしばしば誤ってこの翼角に給餌を試みる.ジュウイチの雛は翼角を嘴と誤認させることで明らかに仮親からより多くの世話を引き出している.鳥類の表現型としては例外的なこれらの形質は,宿主が持つ「動き」に対する生得的な反応性をうまく利用することによって進化したのだろう.



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