[P-048]メダカ地域集団間におけるミトコンドリアゲノムの分子進化
発表者(所属) 向井貴彦(東大新領域)・宮 正樹(千葉中央博)・西田 睦(東大海洋研)・三谷啓志(東大新領域) 要旨 温帯性の小型魚類であるメダカ(Oryzias latipes)は、北日本・南日本・東韓・中国−西韓という4つの遺伝的に分化した地域型に分けられることが知られており、北日本集団は遺伝的に均質だが、南日本集団は遺伝的に異なる多くの地域集団によって構成されている。本研究では、それらのメダカ地域集団について、mtDNAの全塩基配列を決定し、分子進化パターンを比較した。その結果、北日本の地域集団間では、タンパク質・rRNA・tRNAのコード領域における塩基置換数が少なく、遺伝的に均質であることが裏付けられた。南日本の地域集団間ではコード領域に多くの塩基置換が観察され、地理的分化が進んでいることが確認できた。しかし、遺伝子間領域や調節領域を比較すると、南日本の地域集団間では見られなかった挿入・欠失が、北日本の地域集団間で複数観察され、複製もしくは転写効率などに差がある可能性が示唆された。