[P-049]シロアリ腸内共生原生生物におけるセルロース分解機構の分子進化学的解析
発表者(所属) 戸高眠1、守屋繁春1, 2, 3、工藤俊章1, 2, 3 (1横市院・総合理学、2科技団・ICORP、3理研・生物基盤) 要旨 下等シロアリは後腸内に共生している原生生物の働きにより植物枯死体の結晶性セルロースをほぼ完全に分化、資化することが知られている。その過程には複数のcellulase、hemi-cellulaseが協調的に働いていると考えられている。しかし、これら様々なcellulase、hemi-cellulase遺伝子の進化学的な由来は従来からの大きな謎の1つである。シロアリに共生する原生生物に近縁の鞭毛虫の中にcellulaseをもつ生物は知られていない。 そのため、我々はヤマトシロアリの腸内共生原生生物内で発現しているGHF5に分類されるセルラーゼに注目し、分子系統学的解析を行った結果、GHF5のendoglucanaseは土壌性の線虫と同様にバクテリアから遺伝子が水平伝播した可能性が示唆され、また、cellobiohydrolaseにおいてもバクテリアから遺伝子が水平伝播した可能性が示された。