[P-050]ソバ属ウロファイラムグループの分子系統と分岐年代の推定
発表者(所属) 西本由利子(総研大・生命体)、長谷川政美(総研大、統数研) 要旨 ソバ属(Fagopyrum, Polygonaceae)の系統関係は、葉緑体遺伝子の分子系統樹解析によりほぼ解明されているが、遺伝子系統樹間のトポロジーの違いについての統計的検定がほとんどなされていない。また年代推定においても、指標となる近縁植物の化石が未知であることから、この方面の研究は進んでいない。本研究では、第一に、遺伝様式が葉緑体DNAとは異なる核DNAの遺伝子を解析に取り入れ、ソバ属urophyllum グループ13種の系統関係を最尤法により推定した。各系統樹のトポロジーの違いをKH検定により検討した。第二に、比較的信頼性の高い化石年代が知られている陸上植物全体におけるソバ属の系統的位置付けをおこない、分子進化速度の変動を考慮できるベイズ的方法(Thorneら、1998)により、異なる3つの遺伝子を用いて分岐年代を推定した。ソバ属の進化は、約30MYAに始まり、種間交雑を経て多様性を増したという可能性を示唆する新たな知見が得られたので報告する。