[P-052]ムラソイ複合種群には何種含まれるのか?
発表者(所属) 甲斐嘉晃(京大院農)・中山耕至(京大院農)・中坊徹次(京大総博) 要旨 カサゴ目フサカサゴ科のメバル属魚類は,110種以上を含む多様なグループである.メバル属魚類には,体色以外に明瞭な形態的違いの見られない種群が多く,しばしばシクリッド類と比較され種分化研究のモデルとして注目されてきている.今回,メバル属魚類のうち,体色に多型の見られ分類学的に混乱しているムラソイ複合種群Sebastes pachycephalus species complexについて,mtDNA調節領域の配列決定とAFLP法による核ゲノムの分析を行った.その結果,mtDNAの配列からは変異が少なく明瞭な集団構造は確認できなかったが,AFLP法による核ゲノムの分析では明瞭に異なる2グループが確認され,ムラソイ複合種群には少なくとも2種含まれると考えられた.この2グループは体色で区別できる2型にほぼ一致しており,ムラソイ類においても体色の違いが生殖的隔離に重要な役割を果たしている可能性がある.