[P-053]トカゲは海を渡ったか?
発表者(所属) 本多正尚(信州大・医)太田英利(琉球大・熱生研)疋田努(京都大・理) 要旨 旧世界と新世界に分布するスベトカゲ亜科3種の系統関係をミトコンドリア DNA から推定した。その結果、これら3属がいずれも単系統群ではないことが明らかになった。Mabuya Group 内では、アジア産が最初に分化し、アフリカ−マダガスカルと新熱帯区のものが姉妹群となった。スベトカゲ亜科の初期の分化がアフリカと南アメリカの分断より遙かに遅いこと、北アメリカで近縁種の化石が発見されていないことを考慮すると、このグループは大西洋経由で海を横断してアフリカから新熱帯区に到達した可能性が高い。また、新世界の Scincella が、旧世界の Scincella より新世界の Sphenomorphus に近縁であることも明らかになった。これはベーリング海峡を経由した侵入した祖先が新世界の Scincella と新世界の Sphenomorphus に分化したことを示唆する。