[P-055]テントウムシ科における食性進化過程の検討
発表者(所属) ◯玉城みのり・小波本直忠・多和田真吉・安田正昭(琉大院・農・生資科) 要旨 テントウムシ科に属するテントウムシはカイガラムシやアブラムシを食する捕食性のみならず、植食性や菌食性の種も存在する。これらテントウムシは、同科内に属しながら、ある種は益虫として人間社会で利用され、またある種は害虫として駆除の対象になる点でとても興味深い食性を持つ昆虫である。おそらくは同じ祖先を持つであろうテントウムシの食性がどのように進化してきたのかを核遺伝子およびミトコンドリア遺伝子を用いた分子系統解析により検討した。今回28S rRNA とCOT遺伝子それぞれの部分塩基配列約 700 bpを決定した。テントウムシが食性に関係なく幼生期に行う共喰いは捕食性のなごりであるとされているが、今回の結果もある程度これを支持した。しかし、捕食性が分岐した後植食性や菌食性が分岐したのではなく、祖先的形態をもつ捕食性から植食性のマダラテントウ亜科が分岐し、その後に再度捕食性のテントウムシ亜科や菌食性のカビクイテントウ亜科が分岐した可能性が示唆された。