[P-057]ミトコンドリア 16S rRNA 遺伝子からみたコガネムシ科 Scarabaeidae の系統進化
発表者(所属) 細谷忠嗣(京大・院・理)・荒谷邦雄(九大・院・比文)・近雅博(滋賀県立大・環境科学) 要旨 コガネムシ科 Scarabaeidae は、2万種以上が含まれる大きなグループである。本科の成虫及び幼虫は幅広い食性を示すと共に、ダイコクコガネ亜科のように獣糞から育児ボールを作るなど多様な行動様式が見られる。本科内の系統関係は、Howden (1982) 及び Browne & Scholtz(1998)が形態に基づき系統解析を行っているが、結果に相違が見られる。今回ミトコンドリア 16S rRNA 遺伝子約1000塩基を用いてコガネムシ科の各亜科間の系統解析を行った。その結果、コガネムシ科は食糞群と食葉群の2系統に分岐し、食糞群ダイコクコガネ亜科は2種類の営巣行動の違いによるニ分岐とはならず、また食葉群ではテナガコガネ亜科が最初に分岐し、スジコガネ亜科とカブトムシ亜科が近縁であることが示された。発表では、形態に基づく系統解析の結果との比較及び成虫、幼虫の食性進化について考察する。