[P-058]複数の遺伝子に基づく食肉目イタチ科の系統解析
発表者(所属) 佐藤淳(福山大学 生命工学部)、細田徹治(和歌山県立紀央館高校)、Mieczyslaw Wolsan(Museum and Institute of Zoology, and Institute of Paleobiology,Polish Academy of Sciences)、鈴木仁(北海道大学 地球環境科学研究科) 要旨 食肉目の中で最大の種数を有するイタチ科は、亜科レベルにおいて生態的、あるいは形態的多様性を示す(Fossorial-type、Aquatic-type、Terrestrial-type)。これら表形的に分類された亜科の中で、アナグマ類(Fossorial-type)の単系統性については、19世紀末から議論されてきた。しかし、不十分な系統解析、あるいはサンプル収集の難しさより、この亜科の系統に関する一致した見解は未だ得られていない。今回、複数の核遺伝子(IRBP、RAG1遺伝子)とミトコンドリア遺伝子(Cytb遺伝子)に基づく分子系統学的解析により、アナグマ類の多系統が高い信頼値で示された。このことは、アナグマ類によって共有される自らの巣穴を掘るのに適した頑強な爪などがイタチ科における祖先形質である可能性を節約的に示唆する。