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[P-059]伊豆弧の固有種,オカダトカゲ Eumeces latiscutatus (爬虫綱: トカゲ科) の分布と系統生物地理

発表者(所属) 岡本 卓・疋田 努・本川 順子(京大・院理・動物)
要旨 伊豆諸島と伊豆半島は共にフィリピン海プレートに由来し,日本列島とは異なる島弧(“伊豆弧”)に属するという特異な地史的背景を持つ地域である.オカダトカゲは,伊豆諸島のほとんどの島と伊豆半島に分布し,伊豆半島を除く日本列島・琉球列島・台湾・中国南部に近縁種がおり,伊豆弧の陸上動物相のなりたちを日本列島との関係を含めて考察するうえで大変興味深い動物である.本研究ではmtDNAの塩基配列の比較により,近縁種との系統関係および半島付近での分布境界,種内の地理的変異を調べ,生物地理的考察を行った.その結果,オカダトカゲは比較的古い時代に他種の祖先と分岐しており,本州と地続きになる前の伊豆半島にすでに分布していたこと,一方で種内の分化は非常に新しく,はじめに神津島以北−三宅島−御蔵島以南の3集団に分かれ,それに続くいくつかの分断・分散により現在の状態に至ったことが推測された.



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