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[P-071]マルカメムシにおける腸内共生細菌を子に伝えるためのメス特異的器官

発表者(所属) 細川貴弘1、菊池義智2、孟憲英1、深津武馬11産総研・生物機能工学、2茨城大・理)
要旨 マルカメムシ類は中腸盲嚢内に共生細菌を保有しており、母カメムシは産卵時に卵のそばに細菌を含む“カプセル”を産みつけ、幼虫がこれを口吻で摂取することで母子伝播が成立する。この系は共生細菌感染の実験的操作が容易なため、宿主−共生細菌間相互作用を理解するためのモデル系になりうると期待される。本講演ではマルカメムシの中腸およびカプセルの構造について報告する。メスの中腸後端部にはオスには見られない肥大した器官が存在していた。この器官およびカプセルを透過電顕で観察したところ、ともに共生細菌だけでなく分泌物様の物質も大量に含んでいた。産卵直後にはこの器官の収縮が見られ、カプセル構成物質の分泌、貯蔵等の機能をもつものと推定された。これらの結果から、マルカメムシのメスでは共生細菌を垂直伝播するためのメス特異的器官が進化しており、また垂直伝播にともなう母カメムシのコストが存在することが示唆された。



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