[P-076]アナナスショウジョウバエ類近縁2種の種間雑種F1雄および染色体置換F2雄の求愛歌と交尾率
発表者(所属) 山田博万1、松田宗男2、小熊譲1(1 筑波大学生物科学系、2 杏林大学医学部) 要旨 アナナスショウジョウバエ類に属するD. ananassaeとD. pallidosaは同所的に生息しているが、交配後隔離は発達しておらず、実験室において妊性のある雑種を得ることができる。つまり、この2種の存続には交配前隔離、特に性的隔離が重要であると考えられる。また、他の隔離機構が見られないことからこの性的隔離が種分化にも関わった可能性も考えられる。両翅を切除した雄、触角端刺(聴覚器官)を切除した雌を用いた実験から、この2種間の性的隔離には雄が翅振動によって発する音情報(求愛歌)が重要であることが分かっており、雌は求愛歌中の種特異性を認識して求愛する雄を受け入れるか拒絶するかを決定していると考えられる。今回、雌が種認識に用いている求愛歌の種特異性とその遺伝的基盤について明らかにすべく、種間雑種F1雄および染色体置換F2雄を作り、その求愛歌の分析を行うとともに、両親種雌との交尾率を測定した。