[P-079]海洋性動物プランクトン・Neocalanus 属カイアシ類において確認されたミトコンドリア偽遺伝子の解析
発表者(所属) 町田 龍二(東大海洋研)・宮 正樹(千葉中央博)・西田 睦(東大海洋研)・津田 敦(東大海洋研)・西田 周平(東大海洋研) 要旨 ミトコンドリア偽遺伝子は機能していないミトコンドリア遺伝子のコピーであり,系統・集団解析を行う上で誤った結果をもたらす可能性がある.われわれは浮遊性の甲殻類,Neocalanus 属カイアシ類のミトコンドリアゲノムを解析する過程で,偽遺伝子またはヘテロプラズミーの存在を示唆するデータを得た.そこでcDNA を解析したところ,同一個体でもgDNAからは多数のハプロタイプが得られるにもかかわらず,cDNA からは単一のハプロタイプのみが得られることが明らかとなった.このことは,ミトコンドリア偽遺伝子が多数存在することを示している.これら偽遺伝子は欠失・挿入が少なく,同義置換が優占しており,他種の配列との組み換えも確認された.偽遺伝子が系統解析に与える影響を明らかにするため,cDNA とgDNA から決定した配列を用い解析したところ,その樹形に違いは見られず偽遺伝子の影響はなかった.