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[P-082]社会性昆虫における可塑的な利他行動:どのような場面で利他的に振る舞うのか?

発表者(所属) 熊野了州(北大・農・動物生態)・粕谷英一(九大・理・生態科学)
要旨  社会性昆虫のコロニーには、繁殖を行う女王と労働を行うワーカーが存在する。近年、利他行動に関するさまざまな可塑性の存在が知られるようになったが、どのような条件で真社会性コロニーでワーカーとして振る舞うのか?といった、昆虫の社会進化における極めて重要な問題は解決されていない。女王とワーカーの間に形態的な差の無い原始的真社会性種であるアシナガバチの第一ブルードメスは、羽化後主に母巣に留まりワーカーとして振る舞うが、羽化後に母巣を離れ独立創設や他コロニーへの移動といった利己的な行動の選択も可能である。本研究では、フタモンアシナガバチの第一ブルードメスがワーカーとして真社会性に参加する至近要因を野外調査で明らかにした。その結果、母巣を利用して真社会性を維持する場合、構造としての巣の大きさが真社会性参加の重要な要因となった。一方、母巣を放棄し新たな巣を再建して真社会性を維持する場合、多数のコロニーメンバーの存在が真社会性参加の重要な要因となった。このように、アシナガバチの第一ブルードメスは、コロニーや個体のおかれた状況に応じて意思決定を行い利他的に振る舞っていることが明らかになった。



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