[P-084]頭足類ミトコンドリアゲノム構造の進化
発表者(所属) 横堀伸一、福田尚也、青山友子、中村光江、吉田真理、大島泰郎(東京薬科大学生命科学部分子生命科学科) 要旨 後生動物ミトコンドリア(mt)ゲノムがコードする遺伝子の数と種類はよく保存されているがその配置は多様である。我々は、頭足類ヤリイカLoligo bleekeri mtゲノムでは非コード領域(NCR)の多重化が見られ、それが遺伝子配置の進化へ関与した可能性を示唆した。また、我々はホタルイカWatasenia scinillans mtゲノムの全塩基配列を決定し、NCRと6種の構造遺伝子の重複を見出した。重複した領域間で塩基配列はほぼ同一であり、協調的な進化プロセスの存在が示唆される。今回、我々は、スルメイカTodarodes pacificus mtゲノムの全塩基配列を決定した。スルメイカmtゲノムでもホタルイカmtゲノムと同様な遺伝子重複が見出されたが、一つのtRNA遺伝子の位置が両者で異なっていた。他の頭足類mt遺伝子配置との比較を行い、頭足類のmtゲノムの進化について論じる。