[P-087]非リボソーム型ポリペプチドシンセターゼのバクテリア同種内における多様化機構〜有毒ラン藻Microcystis aeruginosaの例
発表者(所属) 田辺雄彦、彼谷邦光、渡辺信 (国立環境研究所) 要旨 非リボソーム型ポリペプチドシンセターゼ(NRPS)はバクテリアや菌類に広く分布しており、ぺプチド結合やアミノ基転移などを触媒するモジュールからなる複数の遺伝子で構成される。今回、湖沼に水の華を形成する有毒ラン藻、Microcystis aeruginosaが有するNRPSであるミクロシスチン生合成遺伝子(mcy)クラスターの解析を行った。同種の20数株を対象に、この遺伝子群の中で異なる遺伝子内の4箇所の領域を選択してPCR増幅後、配列を決定して解析を行った。その結果、この遺伝子群が同種内において頻繁に水平移動や欠失を起こしていること、さらに4遺伝子座の系統関係に顕著な矛盾が見られたことから、異なる個体間のmcy遺伝子の間で部分的組み替えが起こっていることも示唆された。本結果は、バクテリアのNRPSが同種個体間でのrecombinationによって多様化していることを示す初めての報告である。