[P-092]RAG1遺伝子の塩基配列解析に基づくモグラ科の系統関係
発表者(所属) 篠原明男(宮崎医科大学フロンティア科学実験総合センター)、Kevin L. Campbell(Department of Zoology, University of Manitoba, CANADA)、鈴木仁(北海道大学大学院地球環境科学研究科生態遺伝学講座) 要旨 食虫目モグラ科は、北アメリカから日本を含むユーラシア大陸に広く分布し、4つの亜科からなる17属が知られる。これらモグラ科内の系統関係を明らかにすることは、哺乳動物における完全地下生活型への進化や、小型哺乳類の大陸間移動の歴史を探るうえで重要である。演者らは、これまでミトコンドリアDNAを用いて解析を行ってきたが、本研究発表においては、核遺伝子である Recombination Activating Gene 1(RAG1)の塩基配列に基づいて解析を行った。その結果、ミトコンドリア遺伝子では支持されなかったヒミズ亜科の単系統性が支持され、更にはこれまで十分な系統学的知見が得られていなかったホシバナモグラが、ユーラシア大陸の大型モグラ類と近縁である可能性が示された。しかしながら、北アメリカ大陸とユーラシア大陸のモグラ類の単系統性については未だ明らかにならず、更なる解析が必要である。