[P-093]分子系統学的手法に基づくハツカネズミ属とアカネズミ属の系統分化要因の比較
発表者(所属) 鈴木仁、島田朋史(北大・地球環境)、Ken Aplin(オーストラリアCSIRO環境維持) 要旨 ユーラシアに分布する二つのネズミ亜科系統のハツカネズミ属(Mus)とアカネズミ属(Apodemus)において、ミトコンドリアDNA(cytb, 1140 bp)と核DNA(IRBP, 1152 bp)の変異に基づき、種間関係を解析した。その結果、それぞれ新旧二つの放散が認められた。さらに亜熱帯と温帯という異なる区域での系統分化に同調性が示唆された。ラット・ハツカネズミの分岐を1200万年前とし、IRBPの変異を基にこの新旧の放散の時期を推定したところ、それぞれ700-600万年前、300-200万年前と推定された。これらの二つのネズミ亜科系統は第三紀後期のユーラシアの環境変動を知る上で重要なてがかりを与えてくれるものと思われる。この二つのネズミ亜科系統は系統を細分化させる異なる地理的区域を持ち、さらに生態学的ニッチの分化やシフトによって種の多様化を図っていることが推察された。