[P-095]ヒノキ科樹木における核遺伝子の分子進化学的解析
発表者(所属) 楠見淳子(九大・理)、津村義彦(森林総研)、吉丸博志(森林総研)、舘田英典(九大・理) 要旨 スギ亜科3種、ヒノキ亜科5種、セコイア亜科の2種において、11の核遺伝子座の塩基配列を決定し、その分子進化学的解析を行った。その結果、10遺伝子座でヒノキ亜科の同義置換数が多くなっており、葉緑体遺伝子の解析結果と一致した。さらに、ヒノキ亜科とスギ亜科の同義置換数の比が、葉緑体、核ゲノムのどの遺伝子座でもほぼ等しく、同義置換率の亜科間の相対的な変化が、核と葉緑体のゲノムで同調していることが示唆された。 また、遺伝子座間でその同義、非同義置換数のばらつきの程度を、Dispersion Index(R)により検証したところ、特に非同義サイトでは、weighting factorで補正した場合、その平均値が0.968となり、中立モデルの下でのRの期待値に近い値を示した。この値はこれまで解析されている生物のなかで最も低く、針葉樹の進化に突然変異が大きく寄与していることが示唆された。