[P-097]タンガニイカ湖におけるスケールイーターの起源と進化
発表者(所属) 高橋里英子(京都大学理学研究科動物生態学研究室)、 渡辺勝敏(京都大学理学研究科動物生態学研究室)、 西田睦(東京大学海洋学研究所)、 堀道雄(京都大学理学研究科動物生態学研究室) 要旨 タンガニイカ湖には、200種を越えるシクリッドが生息する。この湖のシクリッド類は食性が非常に多様で、その摂餌形態の多様性と相まって、この種群の適応放散に重要な役割を果たしたことがたびたび指摘されてきた。その中でもスケールイーターは他の魚の鱗を剥ぎ取って餌資源とするユニークな食性を持つ。このような食性はどのように獲得され、またその食性に形態はどのように関わっているかを明らかにする為、本研究はスケールイーター種群の分子系統解析、胃内容調査および形態比較を行った。AFLP法によりゲノム領域の多型比較を行い、祖先多型の影響を減らすことでスケールイーターを含むペリッソダス属7種の分子系統関係を明らかにし、系統樹との形態比較によって歯の形状の収斂進化という新しい知見を得た。同時に、胃内容物調査によってこの種群の食性を再検討した。その結果、鱗食は他の魚の鱗に付着した皮膚を食するものから始まり、各々の種独自の捕食行動、栄養形態の獲得と連動しながら、適応放散していったパターンが明らかとなった。