[P-099]高等脊椎動物に見られる分子進化速度の低下
発表者(所属) 星山大介、宮田隆(京大・院理) 要旨 ゲノム配列が決定された6種の生物種、酵母、ショウジョウバエ、ハマダラカ、ユウレイボヤ、フグ、ヒトのアミノ酸配列を用い、1531組のオーソロガスな遺伝子について新口動物の系統での進化速度の変化を調べた。その結果、遺伝子の機能や遺伝子産物がどこに局在するかによって、進化速度の変化の傾向が異なった。アルコール代謝系の酵素や、産物がミトコンドリアに輸送される遺伝子は、新口動物内で進化速度があまり変化せず、分子時計的な振る舞いを見せた。一方で、細胞質リボソーム、転写制御因子、プロテアソームの遺伝子では高等脊椎動物で進化速度の急激な低下が見られた。また、リボソームタンパクについて進化速度が低下しはじめた時期を詳しく調べたところ、円口類・有顎類の分岐周辺であることがわかった。遺伝子種による変化の傾向の違いから、高等脊椎動物での進化速度低下の理由を推察する。