[P-102]クロアワビとマダカアワビの関係について
発表者(所属) 浜口昌巳・佐々木美穂(瀬戸内水研) 要旨 クロアワビHaliotis discus discusとマダカアワビH. madakaの関係について、ミトコンドリア及び核の遺伝子解析を行なうと共に、交配実験によって検討した。ミトコンドリアではCytochrome oxidase subunit I, 核ではカルモジュリン関連遺伝子を決定し、国内生息する他のアワビ類と比較検討した。核のマ−カ−によって識別したクロアワビとマダカアワビについて交配実験を行い、得られた着底稚貝の核遺伝子の解析を行なった。交配実験の結果、両者の交雑個体が発生することが明らかとなり、F2もできた。この結果は、上島ら(1995)が報告したように、クロアワビとマダカアワビには互いに遺伝子交流が生じているという結果を支持するものであった。しかし、野外では両者は産卵期が異なると共に、ハビタットの棲み分けをしているという報告があり、今後両者の生態について詳細に検討する必要があると思われる。