[P-106]アブラムシにおける跳躍的種分化
発表者(所属) 秋元信一(北大・農・生物生態学体系学) 要旨 跳躍的種分化(あるいは瞬間的種分化)は、一回の突然変異の結果、生殖的隔離が生じてしまうとされる現象で、こうした種分化は植物における染色体の倍数化による種分化を除いて起こりえないとされてきた。かつてゴールドシュミットがこうした考え方を唱えたが、現在、動物においてはこの考えは否定されている。跳躍的種分化は一般的には起こりえないが、特別の条件下ではその可能性がある。ゴールを形成するアブラムシ、ニレイガフシとニレオオイガフシは姉妹種の関係にあり、ほぼ同所的に分布する。形態はほとんど区別がつかないが、生活史および核型が大きく異なる。イガフシはオオイガフシからモルフの欠落を通じて派生したと思われる。モルフ欠落突然変異体は単為生殖によって増殖し、近親交配を行うことで中間段階なしに時間的な生殖的隔離を生み出しうる。この種分化仮説を支持する証拠が分子系統と突然変異の探索より得られたので報告する。