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[P-108]ナガサキアゲハの分布拡大ルートを探る〜日本での分布の成立と南西諸島との交流

発表者(所属) 吉尾政信(大阪府立大・先端研)・石井 実(大阪府大院・農生・昆虫)・八木孝司(大阪府立大・先端研)
要旨 ナガサキアゲハの日本への侵入と国内での分布拡大経路を調べるために,各個体群の mtDNA の ND5 遺伝子を解析した.その結果,本種はインドネシア,マレーシア,および周辺島嶼の個体群と,マレー半島を含むアジア大陸,インド,台湾,日本の個体群に大別された.日本からは3ハプロタイプが検出され,沖縄は I 型と II 型,奄美大島,宝島(トカラ列島),屋久島は I 型と III 型,鹿児島本土はすべて III 型であった. I 型と II 型はこれらの地域に固有であったが,III 型は台湾と共通であった.これらの結果は,本種は九州以北へはアジア大陸経由で侵入したこと,台湾と鹿児島個体群が大陸のそれと隔離された時期がほぼ等しい可能性,南西諸島から屋久島までは交流があることを示唆する.また,本種が鹿児島以北へも南西諸島から侵入しているかを調べるために,太平洋側の個体群を中心に解析を行った.発表ではその結果も含めて,本種の分布拡大経路について考察する.



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