[P-109]28S rDNAを分子指標とした二枚貝綱翼形亜綱の分子系統解析
発表者(所属) 橋本朝子(神奈川大学・理学・生物)、松本政哲(京都大学・理学・生物物理) 要旨 二枚貝綱翼形亜綱の分子系統解析は、現在までに数種の遺伝子を用いて行われてきたが、必ずしも高次(例えば、上科間)の系統関係については解決できてはいない。今回、翼形亜綱の19科を含む分類群をサンプリングし、28S rDNAのほぼ全長領域を決定した。そのデータを基に、最尤法と最小進化法によって系統解析を行なった。28S rDNAを用いて系統解析を行った結果、いくつかの上科間の系統関係に関して、有意な結果が得られた。分子系統樹から、二枚貝類の形質の進化を見直してみると、様々な興味深い知見が得られた。例えば、二枚貝類では、生活様式の変化に応じて、複数の形質がリンクしながら収斂的に進化していることが判明した。このことは、翼形亜綱において、分岐分析による系統関係の構築が困難である一因となっている。