[P-110]食う―食われるの関係は生物の大型化の原因となるか?
発表者(所属) 吉田勝彦(国立環境研究所生物多様性プロジェクト) 要旨 生物のグループには、比較的体サイズの小さな祖先から生まれ、次第に大型化するものが多いことが知られている。一般に食う側の生物は食われる側の生物よりも大きいので、食う―食われるの関係も大型化の要因の一つに挙げられている。しかし、過去の生物では食う側と食われる側の特定が難しいため、進化的な時間スケールでの詳細な研究は行なわれていなかった。そこで本研究では、捕食動物は自分より体サイズの小さい動物しか補食出来ない、という仮定を導入した仮想的な食物網の進化のシミュレーションを行なった。その結果、近縁種間で食う―食われるの関係を成立させたグループは特に激しく大型化することが明らかとなった。また、近縁種間での食う―食われるの関係を禁じた場合、このような大型化は見られなかった。このことから、近縁種間での食う―食われるの関係が成立したときに生物は特に大型化しやすいと言える。