[P-111]ファイトプラズマの膜タンパク質における正の選択は昆虫との相互作用によって引き起こされる
発表者(所属) 柿澤茂行1、大島研郎1、鈴木志穂1、鄭熙英1、魏薇2、西川尚志1、宇垣正志1、岸野洋久2、難波成任1 (1東大院・新領域、2東大院・農生科) 要旨 ファイトプラズマはMollicutes綱に属し、600種以上の植物に病害を引き起こす植物病原細菌である。また植物と媒介昆虫の両方に感染し、両宿主の細胞質内に寄生するユニークな細菌である。 我々はファイトプラズマの菌体表面に存在する膜タンパク質Ampに、顕著な正の選択圧がかかっていることを見いだした。非同義/同義置換頻度の比(dN/dS)を全アミノ酸サイトの平均で計算したところ 2.25〜6.51 の値が得られ、また個々のアミノ酸サイトで独立に計算する最尤モデルを用いたところ、最大で 317.94 の値が得られた。また、昆虫に感染できない変異株の解析結果と、ファイトプラズマの独特な生活環を考慮に入れると、Ampにかかる極端に大きな正の選択圧は植物よりも昆虫宿主との相互作用によって引き起こされる可能性が示唆された。