[P-113]グリシルtRNA合成酵素(GlyRS)の祖先型化とその耐熱性 祖先生物は好熱性の生き物であったか?
発表者(所属) 清水 秀明1、横堀 伸一1、大栗 誉敏2、大島 泰郎1、横川 隆志3、西川 一八3、山岸 明彦1 (1東薬大・生命科学、2九大院・薬、3岐阜大・工・生命工) 要旨 地球上の生物の進化系統樹をみると、根元の生物は好熱性の傾向が高い。このことから、共通の祖先は好熱性の生き物であったのではないか、という仮説が提唱されている。系統樹を用いて推定した祖先型IPMDH、ICDHはその野生型よりも高い熱安定性を示したが、今回は異なる系の酵素GlyRSについて祖先型酵素を作製しその耐熱性を調べた。 α2typeのGlyRSについて系統樹を作成して、それを基にGlyRSの祖先型残基の推定を行った。その祖先型残基をT. thermophilusのGlyRSに導入して、大腸菌内にて発現させた。9つの祖先型変異GlyRSのうち7変異体についてCDにて熱安定性を測定したところ、いくつかの祖先型変異GlyRSは野生型よりも耐熱性が上昇するという結果を示した。今回は得られた実験結果を基に共通祖先は好熱菌であったかどうかを考察する。