[P-114]PKR遺伝子配列によるGlycyrrhiza属植物の系統解析
発表者(所属) ◯林 宏明, 三輪悦子, 志村久美子, 市村恵子, 井上謙一郎 (岐阜薬大) 梶田 忠 (東大理) 要旨 生薬甘草の基原植物であるGlycyrrhiza glabraとG. uralensisは、南ヨーロッパから中国にかけての広い地域に分布し、形態的および成分的に多様な系統が存在する。その系統の進化の過程を解析するため、核ゲノム遺伝子であるpolyketide reductase (PKR, chalcone reductase)に注目し解析を行った。Glycyrrhiza属植物の PKR遺伝子には、開始コドンの直前に(AAC)nの繰り返し配列(SSR)、開始コドンの直後に(GCT)nのSSRが存在する。各地で採集したGlycyrrhiza属植物の各系統のPKR遺伝子断片をPCRにより増幅して配列を決定した結果、増幅した350bpの断片の中には2種類のSSRに加えて、8ケ所の1塩基置換(SNP)が存在することが判明した。注目すべきことに、これらの遺伝子型の分布は従来の種の分類に一致しなかった。その原因としては、種間交雑の繰り返しによっておこる遺伝子流動が推定された。