[P-117]東アフリカ産カワスズメ科魚類における体表模様形成関連遺伝子の進化
発表者(所属) 杉江綾乃 寺井洋平、岡田典弘(東工大・院生命) 要旨 東アフリカ産カワスズメ科魚類(シクリッド)は、その形態や生態の多様性、先の研究で明らかにされている遺伝的多様度の低さ、また地質学的研究による湖の成立年代等から、爆発的な種分化を起こしてきたと考えられている。 本研究では種分化に関与してきた遺伝子を明らかにすべく、シクリッドの種特異的形態の一つである体表模様形成関連遺伝子に着目した。 ゼブラフィッシュ体表模様ミュータントの原因遺伝子であるmitfのホモログをシクリッドより単離し、シクリッド十数種を用いて解析を行ったところ、多様化の進んでいる系統内でアミノ酸の進化速度の値が比較的高くなっていることが明らかとなり、シクリッドにおいてmitfホモログ遺伝子が多様性の獲得に寄与している可能性があることが示された。また我々はmitfのシクリッド特異的アイソフォームを2種類発見している。体表模様形成において重要な因子となっていることが期待されるmitfの進化を検証し、ここに報告する。