[P-124]白亜紀中期に生じた大量絶滅事変が海生二枚貝類のイノセラムス類に与えた影響
発表者(所属) 高橋昭紀(早大院・理工) 要旨 白亜紀中期のセノマニアン/チューロニアン期境界(C/T境界;9350万年前)では,海洋に貧酸素あるいは無酸素水塊が広域にわたって広がり,多くの海生動物が絶滅した(種レベルの絶滅率は33−53%)とされている.貧酸素あるいは無酸素水塊の拡大が海生無脊椎動物に与えた影響に関して,北西太平洋の日本においてはほとんど報告例がない.本研究の目的は,C/T境界時の絶滅事変に対して,海生二枚貝類のイノセラムス類が日本においてどのような応答様式を示したかを明らかにすることにある.その結果,(1)C/T境界を挟んで種多様性は極端には減少していないが,同境界における種レベルの絶滅率は100%である,(2)C/T境界直後において,統計的に有意にサイズが矮小化している,(3)C/T境界後にはサイズ変異が減少している,(4)C/T境界直後には汎世界的分布種が卓越する,ということが明らかになった.