[P-125]東アフリカ産カワスズメ科魚類の顎部の形態形成に関与する遺伝子の単離と解析
発表者(所属) 雉本禎哉(東工大・院・生命)、渡邉正勝(東工大・院・生命)、中澤真澄(理研CDB、遺伝研)、村上安則(理研CDB)、倉谷滋(理研CDB)、小原雄治(遺伝研)、五條堀孝(遺伝研)、岡田典弘(東工大・院・生命) 要旨 本研究はアフリカ大陸東部に位置するヴィクトリア湖において、非常に多様な形態、生態を示すカワスズメ科魚類(シクリッド)を研究対象とし、どのような遺伝子がシクリッドの表現型の多様化に影響を及ぼしているかを明らかにすることを目的としている。シクリッドは顎部の形態に種間の特徴が現れるため、我々はDNAチップにより顎部の形態形成時に種間で発現量が異なる遺伝子の単離を試みている。 今回単離した遺伝子(CiMP1)は様々な生物種で形態形成に関与していると報告されているastacin familyに属し、細胞外マトリクスを分解する活性を有していることが明らかになった。この遺伝子はシクリッドの頭部、特に顎部付近で強い発現が認められた。これらのことから、この遺伝子がシクリッドの顎部形態形成に関与していることが予想される。この遺伝子は、種間で成長段階における発現パターンが異なり、現在形態の差異との関連性を調査中である。