●日時/8月2日(土) 18:00〜20:30 (4コマ)
●場所/九州大学六本松キャンパス新1号館内 A会場
●種別/公開シンポジウム
企画責任者/:嶋田正和(東大・総合文化)、矢原徹一(九大・理学研究院)、池田 博明(足柄高校)
公開ですので、非会員でも聴講可能です。 参加費は無料ですが、もし大会参加費を支払われますと、大会期間中の講演を全て聴けますので、お得です。 なお、参加人数把握のため、参加希望者はメールにてお申し込み下さい。mshimada@balmer.c.u-tokyo.ac.jp
趣旨
2002年度から中学で施行され、2003年度から高校で施行されようとしている新・学習指導要領は、生物進化の教育に多大な悪影響をもたらす懸念がある。 例えば、中学 の理科2分野では、進化の説明が教科書から完全に消え、代わりに、高校の理科総合B にその一部(地質年代史など)が上げられた。本格的には、高校生物 II に第3編「生物の多様性」として、分類・系統・進化が解説される。しかし、今回の学習指導要領改定は、以下のような不備な点が多々あり、社会にさまざまな波紋をもたらした。
このような状況にあって、いま中学理科では、検定外教科書 「新しい科学の教科書(3分冊)」 (文一総合出版)が注目を浴びている。新・学習指導要領の枠組みを取り外して、中学で教える必要のある自然科学の知識体系は、進化も含めてしっかり教えるべきだとする主張である。では、中学・高校を通じて、進化をどのように教えればよいのか? そのあるべき姿を探ってみたい。
- (1)理科総合Bは、従来は中学で教えていたレベルなので、内容に深みがない。
- (2)生物 I では、理科総合B・生物 II との役割分担を明確化するため、進化を匂わせる一切の 記述が検定で削除された。
- (3)センター共通試験の範囲は生物 I まで。 生物 II はその範囲ではないため、生物で受験す る理科系の生徒ですら、その一部しか生物 II を履修しない。
- (4)生物 II の中では、第3編「生物の多様性」は第4編「生物の集団と環境」との選択性になっており、進化か生態のどちらか履修すれば、それでよい制度になっている。 生態と進化は、自然界の生き物を見る際の車の両輪であり、どちらが欠けても、自然の生き物に対する理解は十全には形成されない。
- (5)理科総合Bの履修者数は、文部科学省の当初の見積もりよりも大幅に下回る様相で、このままでは、生物進化を全く学ばないまま、大学に進学する/社会に出る若者が溢れることになる。
講演者と演題
- 1.嶋田正和 (東大・総合文化)
シンポの趣旨説明、 中等教育における進化教育のつながり- 2.桐生尊義 (長野県飯田市立飯田東中学)
中学理科・検定外教科書 「新しい科学の教科書 1〜3」 での進化の扱い- 3.早崎博之(都立墨田川高校)・鍋田修身(都立中野工業高校)
高校現場での進化教育の取り組み- 4.石川 統 (放送大)
私ならこう教える−高校生物での進化教育