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[P-141]疾患関連遺伝子同定の基礎理論

発表者(所属) 高橋亮(理化学研究所ゲノム科学総合研究センター個体遺伝情報研究チーム)
要旨 人類集団の広範な多型解析から,組換えはヒトゲノム上でランダムに起きるのではなく,限られた領域に集中的に生じ,結果的に高い連鎖不平衡が保たれる領域がブロック状に組合わさってゲノム全体が構成されることが示唆されている.個々のブロック構造の長さは 10kb から時には 100kb に及び,少数の多型座位によってブロック内の多様性の大部分を表現することができる.従って,生活習慣病等,発症頻度の高い疾患の責任因子も集団中に高頻度で存在するのであれば,ハプロタイプを代表する少数の変異を指標に,連関解析の高速化が可能である.しかしながら,この考え方の前提には集団遺伝学的な根拠に乏しく,その有効性を疑問視する声も根強く存在する.配列決定の次の段階に突入したと言われるゲノム研究だが,遺伝変異の維持機構を理解し,多型情報を指標に表現型変異の遺伝基盤を解明するには,まだ必要な配列情報を欠いているのが現状である.



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