[P-145]スギ種内DNA多型の維持機構に関する研究
発表者(所属) 藤本明洋(九大・院理)、角友之(九大・院理)、吉丸博志(森林総研)、津村義彦(森林総研)、舘田英典(九大・院理) 要旨 スギ3集団(岩手、関東-東海、北陸)の精英樹48個体について5遺伝子座 ( NCED、Calmodulin、Ammonium transporter、Aquaporin、Cryj2 ) でDNA多型を調査した。その結果、(1)同義塩基多様度(πs=0.00356)がショウジョウバエ、シロイヌナズナに較べて低い、(2)1塩基あたりの集団組換え率が低い、(3)集団間分化がほとんどない (FST < 0.0205)、(4)頻度スペクトラムからは過去の集団構造が検出されない、等の結果を得た。また、McDonald-Kreitman testを行ったところ、NCED遺伝子座で、種内のアミノ酸多型が有意に多い結果になり、弱有害変異の存在が示唆された。以上より、スギの種内の遺伝的変異の維持機構について考察する。